Super flumina Babylonis(バビロンの流れのほとりに)
詩と日本語訳

  詩篇第137篇−第1節〜第2節
Super flumina Babylonis, illic sedimus   バビロンの流れのほとりに座り
  et flevimus dum recordaremur tui, Sion.   シオンを思い出して我らは嘆いた
in salicibus in medio ejus,
  suspendimus organa nostra

  (そして流れのほとりの)柳の枝の真ん中に
  竪琴をつるした

単語の意味
  太字の部分にアクセント。自明のものは省略。なお、単語の性別・格等もここでは省略します。

  super  〜の上で   in  〜の中
  flumina

 流れ、川 (flumen) 

  salicibus

 柳
 (salictum salicetum salix)
  Babylonis  バビロンの   medio  中心、中央の
  illic  そこに   ejus  それの
  sedimus  座る (sedeo)   suspendimus  掛ける、つるす(suspendo)
  et  そして   organa  楽器、道具 (organum)
  flevimus  泣く、嘆く (fleo)   nostra  我々の
  dum  〜の間
  recordaremur  思い出す (recordor)
  tui  あなたの
  Sion  シオン(=エルサレム)

新共同訳聖書より

  詩篇第137篇抜粋 −第1〜第4節 (詩編は第9節まで続く)
第1節  バビロンの流れのほとりにすわり
 シオンを思って、わたしたちは泣いた。

第2節  竪琴は、ほとりの柳の木々に掛けた。
第3節
 わたしたちを捕囚にした民が
    歌をうたえと言うから
 わたしたちを嘲る民が、楽しもうとして
 「歌ってきかせよ、シオンの歌を」と言うから。
第4節


 どうして歌うことができようか
 主のための歌を、異教の地で。

バビロン捕囚について(解説)

 参考資料:世界史用語集(山川出版社)、聖書辞典(新教出版社) ほか

紀元前10世紀ごろ繁栄を誇ったヘブライ統一王国(王都イェルサレム)は、ダヴィデ王、ソロモン王の死後幾つもの小国に分裂する。
分裂後、残っていたのはイスラエル王国とユダ王国だったが、紀元前722年にイスラエル王国はアッシリアに征服され滅亡。
残ったユダ王国も、新バビロニア王国(首都バビロン)の度重なる攻勢を受ける。

紀元前598年に第一次バビロン捕囚。その後、紀元前587年−586年の攻撃で都は陥落しユダ王国は滅亡。住民は奴隷としてバビロニアに連行され、第二次バビロン捕囚が起こる。
捕囚は、紀元前538年、新バビロニアがアケメネス朝ペルシアに滅ぼされるまで続いた。

詩編第138篇は、このバビロン捕囚から解放されたヘブライ人たちの、異郷の地で受けた辱めと嘆きの記憶、そしてバビロニアに対する神の報復を祈ることばから構成されている。


簡易年表
紀元前13世紀
  モーゼの指導による「出エジプト」
紀元前10世紀

  ヘブライ王国の繁栄
   ダヴィデ王、ソロモン王の時代

紀元前922年

  ヘブライ王国滅亡。小国分裂時代
紀元前722年   イスラエル王国、アッシリアに滅ぼされる
紀元前625年   新バビロニア王国興る。首都バビロン
紀元前598年
  ユダ王国、新バビロニアのネブカドネツァル王に敗れる。
  (第一次バビロン捕囚)

紀元前587年
   −586年

  ユダ王国滅亡。王都、神殿等が破壊されつくす。
  (第二次バビロン捕囚)
紀元前550年   アケメネス朝ペルシア興る

紀元前538年

  新バビロニア王国、ペルシアに滅亡させられる。
  第二次バビロン捕囚が終わる


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