Sancta Maria(聖マリアよ)
ラテン語と日本語訳

(Prima Pars)

 Sancta Maria succure miseris,
 juva pusillanimes,
 refove flebiles,



 聖マリアよ、
  苦難から(急いで)救いに来てください。
 私達の臆病さをお救いになり、
 悲しみを癒してください。

 ora pro populo,
 interveni pro clero,
 intercede pro devoto femineo sexu.

 人々のために祈り、
 聖職者達のために執り成し、
 敬虔な女性のために取り次いでください。


(Secunda Pars)

 Sentiant omnes peccatores
    tuum juvamen,
 quicumque celebrant
    tuam commemorationem.




 すべての罪びとたちは
   あなたの救いを知り、
 誰もがあなたを記念して
   祈りの儀式を行うでしょう。


課題曲集掲載の対訳  水嶋良雄 訳

聖マリアよ

聖マリアよ、苦しみから助け、
恐れから救い、悲しみを癒してください。
民のために祈り、
聖職者達のために執り成し、
信心深い女性のために取り次いでください。

すべての罪人たちは あなたの助けを聞き、
皆は あなたを記念して祈りを捧げます。


単語の意味
 複数の意味をもつ単語については、今回の詩に必要なもののみ掲載しています。
 またアクセントは太字で示しています。

 Sancta  聖なる   intercede  間に入る
 Maria  マリア(女性名)   devoto  敬虔な
 succure  助けに急ぐ(succuro)   femineo  女の
 miseris  苦難、不幸   sexu  性
 juva  救う   Sentiant

 気付く、知覚する
 (sentio)
 pusillanimes  臆病、小心   omnes  すべての
 refove  慰める、(蘇生させる)   peccatores  罪びとたち
 flebiles  悲しみ   tuum  あなたの
 ora  祈る   juvamen  救い
 pro  〜のために   quicumque  誰でも
 populo  民、人々   celebrant  (儀式、祭典を)行う
 interveni

 間に入る、仲裁する
 (intervenio)
  tuam  あなたの
 clero  聖職者   commemorationem

 記念
 思い起こす

解説

PrimaParsでは、聖母マリアへ救いを求める言葉が繰り返される。
それは、三つの祈りを一組としている。
1)
  ・苦難から救ってください
  ・臆病な心(恐怖)から救ってください
  ・悲しみを癒してください

2)
  ・人々のために祈ってください
  ・聖職者のために執り成してください
  ・敬虔な女性のために取り成してください

ひとつ目の組は救いの内容を、ふたつ目の組は救われる対象を繰り返し述べている。この三つ一組という形は、キリスト教の三位一体という教義に通じ、またこの世の中のすべてのものを三つで収斂させていると捉えることもできる。
我々は、この1)、2)が表しているものについて充分に吟味し、それぞれの組がどのような形で旋律に乗せられているかよく考えながら歌うべきである。

SecundaParsでは、ただ救いを求めているにとどまらず、「聖母の救いを知っている。だからこそ、それを記念して祈りを捧げる」という、人々の意思が感じられる。
PrimaParsで歌われた「急いで助けに来て下さい」という切迫感とは対照的に、「自分たちはすでに聖母の救いに気付いている(それを確信している)」という確信や希望が仄見えるように歌うべきではないかと考えている。

また、PrimaParsでは、「急いで来て下さい(succure)」、SecundaParsでは「(救いに)気付いている、知っている(Sentiant)」という言葉が大変強調されていることもまた念頭においておきたい。このふたつの言葉は、ほとんどホモフォニックに歌われることなく、幾度も幾度も畳み掛けるように繰り返されている。それだけ強い祈りの言葉であると考えることができる。

なお、上記の祈りの中の「取り次いで(執り成して)ください」という言葉は、
 罪びとたち(我々人間=みな罪びとである)の許しを、聖母マリアから御子イエスに取り次いでください。聖母からキリストへ人々を許すよう懇願してください
という意味である。Ave Regina caelorumの最後でも、「我々のためにキリストに懇願してください」という言葉があるが、それも同義である。

2006.04.27 記  
今後練習が進んでから随時改訂していきたいと思います。


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