『クリスマスのための4つのモテット』

最終更新日:2002年2月28日
     



降誕の夜の出来事です。
詩の内容などはこれまでに幾度も聞いたと思いますし、クリスマスについてはみなさんよくご存知でしょう。ここでは簡単に、各曲のつながりについて。

第1曲「O magnum mysterium(大いなる神秘よ)」
ミステリアスな和音、ぶつかりあい、解決する音の流れの中で、透明なソプラノの旋律によって奇跡の夜が称えられています。この曲を通してイメージは夜闇の中でしょう。真っ暗な中に、一筋の奇跡の光(ソプラノの高音)がみえています。中間部の聖なる乙女(マリア)を称えるシーンのみ、瞬間明るい中にいるように見えますが、やはりそれはたゆたう夜の中に再び沈んでいくようです。

第2曲「Quem vidistis pastores dicite(何をみたのか羊飼い達よ)」
冒頭の上三声は前奏部分です。曠野の中で羊をおう羊飼い達に遠くからひっそりと問い掛けるような感じで演奏してください。そして練習番号1から、ベースが語りかけるこの旋律は、堂々と一族の長老のように重々しく歌ってください。

次に全員で歌われる同じメロディ、ベースの低音の動きに対して高音部は軽やかに動くことです。そして、長調に解決した和音が次の輝かしい呼びかけにつながっていきます。
中間部、Diciteから。テノールはトランペットのように輝かしい音で歌ってください。

そしてふたたび、ひそやかな曠野の風景に戻ります。力強いしかし決して固くこわばることのないフォルテで曲を締めくくってください。

第3曲「Videntes Stellam(星をみて)」
冒頭上三声の合唱。これは天上の音楽です。天上からふってくる星々の光を示しています。

そして、ベース(ベースは基本的に地を示します)が入ってきてから、ここは主役は男声三部合唱です。ベースは地面ですから、ステッラーーームで降りていく音、最後に降りるところをしっかり見据えて下がり過ぎないようにしてください。地中に引きずり込むのはやめてね(^^;)。

さらに歓喜がたかまり、しかしひそやかな奇跡を祝うが故に音量は決して大きくならないのが、練習番号3です。一つ前がE-durだったのに対してこちらはAs-durです。より高く天に近づいたことを示しているのかもしれません。

そして最後のA-dur。もう一度冒頭が繰り返されます。ここはやはり天上の星からの音楽を。そして、最後の4声で提示するVidentes Stellam.奇跡の具現である微妙な和音を綺麗にきめましょう。

第4曲「Hodie Christus natus est(今日、キリストが生まれた)」
冒頭アルトの歓喜の一声で曲が開始されます。
この曲は、基本的に歓喜を繰り返し歌いつづける、という構成になっています。「今日救い主が生まれた。地上で天使達が喜びの歌を歌う」この単純な繰り返しです。「天においては神に栄光あれ」この賛美が現れるたび、また新たなフレーズで救い主の出現を喜ぶ歌詞が歌われます。

ひとつひとつの音を丁寧に、決して勢いだけで走っていかないように歌ってください。最後のアレルヤは、歓喜に満ちて金管楽器のような華やかな音で歌いきりましょう。


O magnum mysterium
 ・P−2 冒頭の5小節、b-molを基本に練習番号1の直前のF−dur(b-molの中で考えるとXの和音に相当)まで持っていく。
 特に5小節目のテナーのBからAへの降りる幅が広くなり過ぎないように。ベースはFをきちんと上げて保つ。

 ・練習番号1、3、5共通 ソプラノの旋律。pppで細く明るい発音で。決して喉で絞ったりずり上げない。
 ・P−2 6〜7小節目、P−3 3段目1〜2小節目:
   ベース、Bのオクターヴをレガートで情感たっぷりに飛ぶ。
   テナー、八分音符の動きをたっぷり出す。
 ・「sacramentum」の「men」が狭くならないように。ここにテヌート。
 ・「Dominum natum」のpが大きすぎないように。「D」の子音は出す。

 ・P−4 「Beata virgo」テナー、明るい発音で、言葉のアクセントのあたる部分にたっぷりテヌートをかける。「Portare」以降のアルトも同様。

 ・練習番号5、最もミステリアスに歌う。奇跡の発現。
Quem vidistis pastores dicite
 ・P−6 3,4小節目、「nobis」、「in terris」切りをアルトに合わせる。
  P−8最終小節、P−11 2小節目も同様。

 ・練習番号1からベース、堂々と、チェロのような音色で歌う。
 ・「et Chorus Angelorum」は少し動きをもって活き活きと。
 ・P−9 2小節目〜3小節目 senza dim.

 ・練習番号3,4 テナーの主旋律大きめに、きちんと音程を上げる。cresc.もかかるはず。
 ・練習番号5は、高音の旋律とベースの旋律の掛け合いをきちんと成立させ、練習番号6の「collaudantes Dominum」の力強い歓喜へとつなげる。
Videntes stellam
冒頭及び最後の上3声合唱、透明さを大切に。あくまでもppp。1曲目同様、決して喉で絞って音程をとらないように。

 ・P−12,13 2回ある「gaudio magno」の違いを出す。gaudioではcresc.をきちんとかけること。
 ・練習番号1及び3、男声3部の合唱。特にBaritonパートの音程が大切。高い音でずらないように。ベースの下降音形で音が下がり過ぎない。
 ・P−14の「obtulerunt」のアクセントはなくしました。
 ・P−14,15の「Aurum,thus et myrrham」及び、最後の4声に戻る「videntes stellam」の音程は何度も練習しました。どんな和音のどの役割をになっているかもう一度考えてきてください。
Hodie Christus natus est
この曲に関してはすでに、言うべきことは言い尽くされています。これまでの練習で書き込んだことをよく読み返してきてください。
救い主の誕生を迎えた歓喜、ということを忘れないように。

歌詞がぶつぶつ切れないこと、fとpの差をはっきりつけること、Gloria in excelsis Deoの繰り返しのリズムを大切にすること、これを必ず意識して下さい。
Alleluiaの二重のLの発音に注意。