『AveMaria』

最終更新日:2002年2月28日


パンフレット原稿にも書きましたが、このステージは聖母マリア頌のみで構成されています。
歌詞は受胎告知の際に天使がマリアに告げた言葉(祝福されたマリア、胎内の果実イエス・キリストも祝福されています)と、人々から聖母へのとりなしを願う祈りの言葉(聖なるマリア、神の御母よ、罪びとたる我々のために祈りたまえ)から成っています。

昨日の練習でも言いましたが、この音楽は天上へのぼっていきたい音楽です。そして、上がった音は降りてきたくない。いつまでも空間に滞留していたいのです。特に、「Sancta Maria,mater Dei」の部分など、重く上がらないようにしましょう。
それから、天上の音階である5度音程のハーモニーを作る際、天を示す5度のパートはやや高めに音を取ること。地を示す根音がしっかり土台を作ること。ホール内に倍音を鳴らすようにこの音程を作りたいものです。

グレゴリオ聖歌:
全員でひとつの旋律を歌うことの意味を大切にしてください。全員がぴったり揃ったユニゾンであることが、この音楽で最も肝要なところです。どのひとつの音も、適当に出さないように、そして、自分のコントロールできる最も綺麗な声を使ってください。

Victoria:
さきほどのグレゴリオ聖歌とまったく同じ先唱からはじまり、ポリフォニーによる深みのある世界が具現する。4声が初めて揃う「Diminus tecum(6小節目)」までにひとつの世界を提示しなければなりません。
また、18小節目から19小節目への和音の解決により天使の言葉が終息します。

そのあとの聖母への祈りの前に、一度落ち着いた感じを出して下さい。特に、18小節目ソプラノがE(ミ ナチュラル)を出す時、全員がその和音を意識してください。
聖母への祈りは、音量を変えて2回提示されます。1回目は祈りの声を天上に届かせるように、2回目はより内省的に、と私は思っています。

Celmens:
テノールの先唱ソロから、まず第一の旋律群が始まります。ここは5度音程の世界です。10小節目における根音と5度のハーモニーをしっかり形作ってください。ソプラノ2とテノールは5度をやや高めにとってください。地であるCに対して、あなた達のGは天を示します。

第二旋律群は、4度の音程で始まります。この旋律は非常に短く収束し、最後にグレゴリオ聖歌にはなかった三和音の世界を予感させて終わります。これは本来のこの曲の調性であるEs−durにおいては、属和音(X)に相当します。

第三旋律群、ここはより歓びを感じさせる旋律が展開されます。最後のアレルヤ唱にむけて、喜びの上昇音階、繰り返し出現するDとDesを大切に歌ってください。

アレルヤ唱は再び5度の音程から始まります。地上から立ち上る男声の八分音符、天上から降りてくる第一、第二ソプラノ、その狭間で5度と4度の世界を繰り返すアルト、この掛け合いにより、繰り返される賛美はF−durの和音で美しく収束します。


グレゴリオ聖歌
先唱者をおきません。最初から全員で歌います。
短3度あげて演奏するので、最初の音はAsになります。

・ネウマ譜を見ておくこと。基本的な曲想(とこの時代では言わないけど^^;)は、
 こちらの譜面にかかれているとおりにつけます。
・相違点:1)GratiaPlenaの「Ple」
      2)Dominus tecum の「te」
      3)peccatoribus の「to」(上がった音)
      4)nunc
 以上4箇所は音を1.5倍くらいに延ばして演奏する。
・ペスの上がった音をやや滞留させること。下から素早く上がる。
Victoria
先唱者はソプラノ・ソロです。指定されていない人は歌わないこと。
・明るい響きで歌うこと。特にソプラノ「ア」の音が暗く強くなりすぎないように。
・2小節目のベースの入りは、f-molへの移行を意識する。
・6小節目、これまでのポリフォニー的な動きから4声同時の動きになることに気をつける。
・9小節目、11小節目の8分音符と16分音符(S,B)は、すこしはっきり動く。
・18小節目、38小節目のソプラノのE(ミ ナチュラル)の時の和音を少し押し気味に出して、
 次のf-mol(38小節目ではF-dur)にきちんと終止する。
やや古楽風に演奏します。言葉があたった瞬間軽くfpのようにして次の音につなぐ。
Clemens non Papa
先唱者はテノール・ソロです。指定されていない人は歌わないこと。
・第一フレーズ:1小節目〜10小節目  CとGの5度の響きの旋律
・第二フレーズ:11小節目〜16小節目 CとFの4度の響きの旋律
・第三フレーズ:17小節目〜27小節目 Es-durの和音の響き
を意識してハーモニーを作ること。
・アレルヤ唱の掛け合いは、下3声グループと、第一ソプラノ・第二ソプラノのグループで
 それぞれ行なう。
31小節目のムジカ・フィクタは外します(第1ソプラノ)