2011年関東大会講評、感想
審査員講評:
1)雨森 文也 氏

課題曲
良く声のまとまったバランスのよいハーモニーだと思います。
ただ音楽的には今一歩でしょうか?
まず音楽がやや拍節的です。
また、この曲のテキストは、もっともっと喜びが満ち溢れたものだと
思います。全体的にみなさんの演奏は暗すぎるように感じました。

自由曲
Alleluia ad te Dominum clamavi
主に向かって「アレルヤと叫ぶ……」課題曲同様もっと明るい音楽が
必要と思います。
Exaudi Deus「神よ聞き入れ給え」
もっともっと熱く神に語りかけて下さい。
Laudate Dominum omnes gentes「すべての民よ、主をほめたたえよ」
もっともっと喜びに満ちて歌い出して下さい。

(上記すべてにカッコつきで)
もっともっとテキストを処理して下さい。


2)金川 明裕 氏

なかなかにインテリジェンスを感じるパート・バランス。
特にBas.の音色が明るいのが好印象。
ラテン語の母音にニュアンスが不足していると思う。
発声的には、全体に喉が上がっており、支えに乏しいのが一寸残念。
シラビックな歌い方にも注意されたい。


3)清水 敬一 氏

課題曲
良い流れですね。さらに弾むリズムを使って遊んでもかまわない
作品だと思います。

自由曲
バランスがいいですね。爽やかな響きがしていました。

青森でまた、お会いしましょう!


4)松原 千振 氏

無伴奏宗教作品に徹したとても良い選曲。
例え短い音符であってもすべての音符に長さがあることを忘れずに。
即ち、一瞬の和音が生まれ、それらもつながりで作品全体が構成されて
ゆくのです。
また作品の分析をより深く。主旋律と対旋律、主題と副題等、
音楽そのものへの関心を!


5)渡辺 三郎 氏

1)とても安定したいいアンサンブルでしたが、欲を言えばさらに
  表現を大きく!

2)自由曲ではさらに安定感を!

指揮者感想:

ざっと聞いた感じ+ステージでの感触を箇条書きに。

・本番の時、曲(フレーズ)の出だしが、それぞれきれいに出ることが
 できて、とてもよかった。
・ステージへ戻ってくる響きがきれいに聞こえていた(はず)ので、
 歌っている方も安心感をもって和音を作れたのではないかと思う。
・少人数でももっと箱自体を鳴らす団体はたくさんあり、声の強さ
 響きの豊かさで不足があった。
・まだまだ練習不足のところが多々あり、そこを一つずつ潰していく
 ようにしたい。

(2011年10月3日Chorus-MLより)

-----
課題曲:
良い流れで演奏できていると思います。講評で暗いと書かれていますが、
 ・ホールに鳴らなかった(音量が小さくて消極的すぎるように聞こえた)
 ・フレーズの処理が甘くて鳴るべきところで明るい和音が鳴ってない
ということかと解釈しています。
これから先は、もっと各パート自律的にうねることができるよう、また旋律の
入りと切りをもっと丁寧に処理することを目指していきたいと思います。


自由曲:
県大会の時に比べて随分と進歩したのではないでしょうか。
ただ、T、Uはまだまだ音程に振り回されており、流れがまったく作り出せて
いないことから、さらに歌いこみが必要であると感じています。
またVは単独で演奏するとかなり良いものになるのですが、課題曲から通して
最後の演奏になると体力が尽きてしまって思うような音が出せていないようです。

大きな課題である、「入りと切りの音を美しく」ということと併せて、発声を頑張って
いく必要があります。また正確な音程感覚を養うということも考えていきましょう。

音階練習をもっと取り入れていきますので、録音を取っている方は発声練習の
時だけは自分の近くで録って鍵盤で弾きなおしながら聞いてみる、あるいは、
身近なパートの人と聞きあってお互い音程を矯正していくこともよいでしょう。


全国大会まで一カ月半ですが、少しでも多く歌いこんで、よい演奏ができるように
していきましょう。


なお、自由曲をどんな風に演奏してほしいか、9月のMLに流した内容を抜粋して
再掲します。参考にしてください。

-----
この曲集でもっとも大事なメッセージは「Laudate Dominum」です。
全編を貫いているものは、明るく強い色です。

もしこれが、一曲目「Alleluia」もしくは「Voce mea(わが声を)」など、
二曲目が「Exaudi(聞きたまえ)」のように、別々に作曲されていれば
また違う考えもあるでしょう。
しかしそうではありません。TとUがattaccaで続くことを見てもそれは
明らかです。

この曲はあくまでも一続きの「Laudate Dominum」という曲なのです。

ですから、各楽章において気分を切り替えて変化を出すことは必要ですが、
最終的には賛美と喜びを表す力強いものを訴えるためにすべてがある、と
いうことを意識した音楽づくりをするべきでしょう。

Tのメッセージ:アレルヤ!祝福された我が神に向かって私は叫ぶ。
        (その声を聞き給え)
Uのメッセージ:私の懇願を、祈りを聞いてください。心が弱ってしまう
        とき、どうか導いてください

TとUでは、これだけつたわればいいのです。

Uにおける真摯な祈りの心は大切ですが、内容については、みなさんそれ
ぞれの心の中にある祈りで構わないと思います。
もちろん、詩篇の60、ダビデやイスラエルに思いをはせていただいても
よいのですが、「作曲者はダビデを意識させるような文言をあえて作曲し
ていない」ということを意識の中においておきましょう。

そしてVでは、真摯な祈りが報われ勝利と歓喜の中にある、その喜びの
心がつたわるように演奏したいと思います。

(2011年9月9日Chorus-MLより)


Back