2007年神奈川県大会講評、感想
審査員講評:
1)今井邦男氏
  G1 Palestrina作品
  よくととのえられたアンサンブル。自発性が感じられる。歌いぶりがよい。
  SopとAltのバランスを工夫してください。Altがもぐりすぎる。
  Altもカウンターを歌うにしては高いので、Sopとの分担の仕方で工夫する。

  Byrd作品
  こちらは特にKyrieで大切なAltがきこえてきません。Tenを一人くらいAltに入れて
  もらったらどうでしょう。
  様式的なアプローチはすばらしいと思いますので、更にていねいな歌い込みに
  よって、アンサンブルの質を高めて下さい。
  特に、各パートのレガートの質を練り上げること。

2)片山みゆき氏
  課)単語の途中でブレスが入る場合がありますが(特に女声は人数の事情で
  しかたがないと思いますが)、なるべく単語の姿が見えやすい状態での
  ブレスを心がけられてはいかがでしょう。

  自)各パートのフレーズを形作る”音”の動きの中で、更に音程が安定すること、
  また、フレーズの形が更に整理されること。    期待しております。

3)長谷川冴子氏
  アンサンブルの形式でうたわれると思います。
  Cui Christus前まで少し、Over Workになっている様です。
  声の響きも、指揮も、ゆとりを持って少ししなやかでもよいのではないでしょうか。

  Byrdはやはり、HarmonyとMelodyのその流れで、しなやかさは出ています。
  これはSingersの役割は大きく、半音の巾を美しく(各パート)
  そして正確なIntonationが求められます。
  発音もよく飛んで来ますから、安心してディティールを積み重ねて下さい。

4)皆川達夫氏
  Palestrina
  各パートの自主的な流れを大切に。音程が乱れる(こと?)があり
  ます。より正確に。

  Byrd
  Kyrieを4つに振ってはいけません。せっかくのPolyphonyの流れが妨げられます。
  Sanctusもそのために拍節的になりました。
  Byrdを歌う意味が失われてしまいます。Benedictusも同様。

5)渡辺三郎氏
  とても美しい、いい音色ですね。音程をもっと正確にとって下さい。
  音程が良くないために、全体に集中力が欠けるように思います(課)。

  上に加えて、各パートとも横の流れ、動きを意識して下さい(自)。


指揮者感想:

演奏時間はいつもとほぼ同じ。
課題曲:3分20秒(歌い始めてからなら、3分10秒)
自由曲:Kyrie 1分55秒  Sanctus 3分30秒
曲間も入れると、自由曲全体で5分50秒から6分といったところ。

課題曲:
まずテンポのことについて。
課題曲の出だしが、いつもよりややあわただしい感じになってしまった。
流れを保つことについて努力の跡が伺えたが、その代わりテンポに必死になりすぎて、
聞いていて「頑張りすぎ」「Over Work」という印象になってしまったようである。
全体としてテンポ感を共有できていないことから、大きなうねりが作り出せなかった。

パート毎にテンポ感の統一を図り、またフレーズ終わりのブレスがうるさくならないよう
気をつけて演奏していくようにしたい。

次に音程について。
ベースのフレーズが始まって四声がそろった時に、しっかりと音が鳴っているように
したい。
まだ練習不足で、テンポに振り回されたり、「Valde」の「Va」を高く歌うなどにしか神経が
いかず、「honorandus」あたりの音程が微妙に狂ってしまった。

横の流れも重要であるが、要所要所、きちんと音を重ねていくことが大切。

Cui Christusからの構成は良くなったのではないか。
しかし、一斉に和音が進行していく部分なので、さらに厳しい音程感が要求される。
ひとつの狂いもなく石垣をくみ上げていくように、しっかりとした和音を作り上げていきたい。

また、最後の下三声のフレーズ終わりの集中力をたもつように。

自由曲
Kyrie:
第1ブロック、キメの和音がきれいに決まらなかった。
Bassの下行音形、Tenの上行音形ともに音程が悪い。
また、Altoが言葉のイントネーションと無関係なところが強すぎる。

第2ブロック、Bassのフレーズを要練習。
Alto、階段状にがくがく動きすぎて流れを止めている。

第3ブロック、Kの切迫感を出そうとしているところは感じが出ていた。
F-E(ナチュラル)-Fの線が見えるように。
最後の段、内声の動きをそろえる。

Sanctus:
全体として、「ctus」のキメの和音へ向かう集中力が今一つ。
Alto、同じ母音で歌う音形で、「AAA」とか「EEE」とか切れすぎ。
3つ目のSanctus、少し拍節感が出すぎてしまった。疲れたか?

Dominus〜の流れを大切に。外声特に「Do」の輝きを出したい。
テンポが変わってからの上三声、さらにテンポをそろえてレガートに。

Hosannaの入りのBassは良かった。SopもGood。
最後の男声、「sis」の入り方をそろえる。音程が散る。

Benedictusに入ってから、全体的にスタミナ切れの感が否めない。
とにかくレガートの練習をしたい。
最後のHosannaは良かった。割と良く響いて曲を終えられたと思う。

パートについて:
Soprano:課題曲の高音が続く部分のブレスを要練習。スタミナ切れにならないように。
Alto:八分音符の動き、どの曲でも途切れすぎている。レガートの練習。
Tenor:パートとして音楽が荒い。高音に戻る時の音程を特に揃えたい。
Bass:課題曲を特に練習したい。また長いフレーズで音程が下がりがち。

関東大会まであと一ヶ月と少しです。
いろいろ仕事の都合もあると思いますが、毎回15分でもいいですからとにかく練習に
参加してください。アンサンブルを積み重ねていくことで音楽ができあがっていきます。
また、寸前でパート練習をしても間に合いません。計画的に、すすめていくようにしましょう。

といろいろ書いてきましたが。
できてきたこともたくさんありました。「どんな曲にしたいのか」「ここはどんな風に演奏する
のか」という意志をかなり明確に表現できたところもあり、音量的にもいつもよりのびのび
歌っているように感じました。
練習不足の部分は録音などを聞くとはっきり出てしまいますが、その部分はこれから
ひとつひとつ潰していけばいいことだと思います。

とにかく関東大会、悔いのない演奏ができるように、頑張っていきましょう。
団員感想:
9月5日(水)の練習で演奏テープを聴いた人の感想抜粋。

・課題曲の前半がまだまだ歌えていない。
・パートによって(音程的な)世界が違う。寄り添っていない。
・練習の時の半分くらいしか聞きあえていない感じ。
・いままでなら崩れてしまっていたところを、持ち直しているところがいい。
・音楽が子どもっぽい、荒い。
・音程があがりきらなかったところがあった。
・音楽の形が見え始めてきた。やりたいことがみえてきた。
・音程が下がり始めると、全体として何も出来なくなってしまうようだ。

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