全国大会感想

みなさん、全国大会お疲れ様でした。
結果は銅賞、つまり10団体中8位から10位の間という結果でしたが、全国の名だたる強豪の中で戦えたことは団として幸せなことだったと思っています。
演奏内容も、県大会→関東大会→全国大会と少しずつレベルアップしていきましたし、当日の演奏も、落ち着いた良い演奏だったと思いました。一番初めの演奏ということによる過度の緊張も気負いもなく、のびのびとした音が聞こえてきた時には、指揮台で「おっけー!」とガッツポーズをしたいくらいでした。

演奏内容については反省点やこれからの目標もたくさんありますが、まずはこの半年(以上かな)の頑張りに拍手をして、気持ちよく2006年度のコンクールシーズンを締めくくりたいと思います。


演奏内容:

さて、気になる演奏内容です。
まだ講評も順位表も出ていませんので、それが出てからまた考えたいと思いますが、まずは演奏MDを聴いた感想を。

後述しますが、県大会から比べると格段に良い演奏になっています。それを前提として、では客観的にはどうだったかという反省です。

まず、声が弱いと思いました。ルネサンスものを演奏するのにふさわしい声質にまとまってきていると思いますし、外鳴りするような声がいいと言っているわけではありませんが、柔らかくまとまりのある声であっても、もう少し訴求力をつけたほうがいいのではないかと思います。
パートごとで言えば、テノールが一番まとまっていましたが、逆に音量としては人数に比してかなり小さく、訴える力が乏しかったように聞こえました。また、テノールの中での音程のズレが若干気になりました。

低声部は、発語、音程ともにパート内で揃わないことが最大の弱点です。特に、上向音形で、必ずといっていいほど、そのフレーズの最高音が低い(頭打ちに聞こえる)。別にその音が高すぎて出ないわけではないので、これは上向音形の時の癖なのでしょう。

また、アルトは八分音符の動きが固すぎました。レガートに弱いのはアルトだけではないのですが、今回の演奏曲では特に目立つ部分を歌っていることもあり、フレージングの固さが耳についてしまいました。

ソプラノは、それぞれが歌を形作ろうという努力をしているのはよく分かりましたが、課題曲、ビクトリアの二曲で特に、パートとしてのまとまりに欠けたフレーズが幾つかありました。県大会の時も同じことを思いましたが、声を一本にまとめる太い声質の人がいないことが原因かも知れません。人数が少ないことから無理をしないように練習を進めた結果、高音の(FとかG)まとまりを最後まで出すことができなかったのは残念でした。


反省点なので厳しいことばかり書いてきましたが、三曲それぞれにきちんと色を付けていこうとしたところ、人数が減っても臆せず演奏を続けられたことなどは大きな進歩でした。苦手としていた課題曲も、ずいぶんとこなれて、ゲレーロらしい大きなうねりを表現できたように思います。


これからの練習では、今回コンクールで培ったことを忘れずに、「発声練習から演奏が始まっているよう」な練習を続けていきたいと思います。どの調でも、どの音形でも、同じことができるように、繰り返し繰り返し基本スケールをさらっていきましょう。また、一人一人の度胸がしっかりついたところから発展して、「ひとりでも、まとまりのあるフレーズを演奏できる」ことを目指していきたいと思います。


コンクール総括:
今回の全国大会出場は、冷静な目で見れば、一種のタナボタでした。地方大会を銀賞で、上位大会に進めることそのものが異例のことですし、それはやはり悔しいことですから。しかし、運も実力のうちと言います。とにかくどんなに「ただのラッキー」と言われようが、全国大会に出場することができたことは喜ぶべきことです。
そして、その運を引き寄せたのは、みなさんのこれまでの地道な努力と熱意に他ならないと私は確信しています。

私がこの合唱団に入団して知ってる範囲で、という但し書きが付きますが、この団で、たった三曲にこれだけ時間をかけて本番に臨んだのは初めてではないかと思います。個人としての努力や演奏への取り組みはさまざまだと思いますが、団としてこれほど何度も何度も曲を練って演奏したことはなかったと思います。

個々人で言えば、全国大会出場者もいますし、ご本人が全国レベルの団体でも充分通用する実力の方もいます。しかし、十六人のアンサンブルを作り上げるというのは、一部の人に頼ってどうにかなるものではなく、すべての人がひとつの音を作り上げることに集中しなければ成し遂げることができません。誰が欠けても今回の演奏は成立しなかったのです。

みなさん中堅どころで忙しい仕事を持つ中、なんとか時間をやりくりして、練習中一人にされてもうまく歌えなくてもめげないで、頑張り続けたことが、富士通の音楽を作り上げました。
みなさんそれぞれが納得いくまで曲を追求した結果が、全国大会への道を開いたのです。それは団として胸を張っていいことだと思います。いただいた賞が何色であろうとも、とにかく全国大会の場に立てなければ勝負が始まらないわけですから。


それから。
打ち上げでもお話しましたし、メルマガの原稿にも書きましたが、県大会から全国大会までの期間、富士通川崎合唱団としての演奏は格段に進歩を遂げました。その伸び具合は素晴らしいものです。
いろいろと悔いの残った県大会の演奏を銅賞か奨励賞とすれば、それを克服した関東大会は銀賞、そして、前二戦での反省を活かして胸を張って強豪の前で演奏した全国大会の演奏は、個人的には心の金賞に相当すると思っています。指揮者冥利に尽きる11分間でした。


望月先生から頂いたお言葉にも、「戦って身につく実力、日々の練習で培う実力」という一言がありました。とにかく戦う場に立つ努力を続けたことが、これからの我々の音楽に活かされることとなるでしょう。


このコンクールを通じて、「富士通川崎合唱団の音色」というものが、少しずつ見えてきました。これからも、いい音楽を目指して頑張っていきましょう。本当にお疲れ様でした。


2006年12月7日

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