第50回神奈川県合唱祭(2007.06.10) 講評: □岩井宏之先生 混声合唱としては、量感が不足しているのが惜しい。合唱ではなく重唱であるような 印象であった。 バードの作品より、パレストリーナの作品の方が、より練れていたと思う。 この水準を超える方策があるのだろうか? □荻野久一先生 第1曲目、各声部の響きがよい。したがって対位的にも響きが美しい、パレストリーナも 同様各声部がよくコントロールされている。さらに習熟を高めた演奏を目ざして活動して ほしいです。見事でした。 □中田幸子先生 宗教曲に対しての声の使い方はとても良いと思いますが、その上に立って一人一人が 体をゆるめた意気の流れを充分に使うと一廻り大きく豊かになるのではないでしょう か。(力でがんばると個々の声が聞こえますので注意しましょう) 演奏について: 一曲目 Kyrie ・音を鳴らすこと及びうねりを感じることを目的として、指揮者なしで演奏してみた。 →指揮なしで練習した期間が短かったこと、ほぼ暗譜の人と楽譜だけを見てしまう人が いることから、ややふぞろいな演奏になった。 →ただし、パート内でそろえよう、自律的に音楽を作ろうとしたことには効果があった。 ・入りの音程がブレてしまったため、最初の部分が和音が不安定になっている。 一回目のKyrieの最後の和音が揃わなかった。 ・Christeの部分、発音がそろっていない。特にChrの子音が続くところ→要練習。 Bassの音程がやや乱れている。 ・三回目、最後のKyrie。最後2小節の内声がそろわない。受け渡しをなめらかに。 ・全体的にフレーズの切りごとにフェルマータがあるので、一部乱れても建て直しが可能。 それぞれ、最後の和音をきれいに響かせようとしているのが感じられた。 二曲目 Valde honorandus est ・全体としてまだこなれていない。音が不安定だったり、しっかり曲を理解していない ことが現れている不安定な演奏となった。 →今回目標にしていた、「だらだら遅れない」という部分はかなり達成できた。 ・フレーズの行き先を見渡せるブレスにはなっていない。慌しく息を吸ってしまうことから、 全体的にせわしない演奏になっている。 →長いフレーズをレガートに歌う、パート内でブレスを決めること、語尾を慌てないこと などを練習していきたい。 ・後半に入ると疲れてきている。pectusとかrecubuitなどの言葉が浅くなってきている、 Cui Christus〜の和音が崩れる、など。 →今回は時間も不足していたので、とにかく楽譜通りの音を歌うことで頑張ってきたが、 これからは、どんどん歌いこんで表現の幅を広げるようにしたい。 ・ソプラノ:少人数で高音が連続するなど苛酷な条件ではあるが、声の体力をつけること、 ブレスを保つ練習を集中してやっていきたい。後半で声が震えないようにしたい。 ・アルト:パートとして練習が不足している。歌いこみをしたい。また、八分音符の連続が 階段状に角張ってしまう部分を直したい。あがる音程が低い。 ・テノール:人数がいるので安定している部分もあるが、じっくり聴くと音程がパート内で 分裂している。発語がそろっていない。喉で押してしまう声を改善したい。 ・ベース:全員が同じ音色になるように声を揃えたい。まだフレーズの理解が不足している 部分があり、そこで音が割れてしまう。歌いこみをしたい。 その他 ・今回、山台を三段分(ベタ・一段目が外声、一段目・二段目が内声)使用した。 場所によっては全体を見渡しにくい・タイミングを取りにくい人もいたようである。 歌いやすかったという人もいた。 →コンクールでどの並びにするか検討が必要。 団員感想: 会場で聴いた感想(F氏メールより抜粋): ・声量は後ろの方で聞いていたが充分だと思った。迫力のある演奏を求めるならば もう少し声量があってもよい。 ・全体的に「やわらかさ」のある演奏に感じた。 ・歌詞が聞き取れなかった。言葉が飛んでこないように聴こえた。 ・音の出だしが安定してきた。出だしがきれいだと安心して聴けた。 ・1曲目は、とてもバランスがよく、それぞれのパートが、お互いと強調しあっている のが心地よかった。 ・2曲目はパートごともしくは個人の声だけが飛んでいるような感じがあり、時々 不安な音が鳴っていた。 団員の感想(順不同): ・ホールが歌いにくかった。お客さんが見えすぎた。 →客電をほとんど落としていなかったためのようです。JCAではもう少し暗くなります。 ・山台が高かった。 ・三列目とのコミュニケーションが取りにくかった。 ・歌いやすかった(二段目の人の感想)。 ・子音が揃わなかった。 ・ValdeのVaがBaみたいに聴こえる。 ・「A(ア)」の母音が動く時に「H」が入ってるように聴こえるけどそれでいいのか? →よくありません。これは直していきましょう。 ・演奏に焦りが感じられる。 ・Bassが変だった(Bassの人の感想) ・伸ばしている音の間に音程が下がっていく傾向がみられた。 ・Kyrieの前半が特に聴きあっていないように感じられた。 ・テノールが走ったようだった(Tenorの人の感想)。 ・テノール、Eあたりが低い(Tenorの人の感想)。 ・曲のテンポが早すぎたのでは?慌しい感じに聴こえる。 ・Valde〜の方が特に、「付点四分音符+八分音符」の歌い方が問題。 そのせいであわただしい音楽になるのでは。 →テンポについては下記にまとめてあります。 テンポについて ・Kyrieのテンポ:四分音符=82〜88の間でほぼ決定(演奏時間2分前後) ただし、曲の部分によってテンポをもう少し揺らす予定。 ・課題曲については、二分音符=50より若干遅いくらい。 (演奏時間を、3分半前後→4分弱くらいにしたい) ・あわただしくなるのは、付点のリズムの処理、フレーズの終わりで急ぐ、ブレスが 急過ぎなどのためではないかと考えられる。 →どちらの曲もあまり大きくテンポは変えない予定。 |